株式Aと株式Bの価格が同じ50.00ドルだとしましょう。
株式Aの権利行使価格50ドルのコール・オプションは0.50ドルで取引され、株式Bの権利行使価格と満期日が同じコール・オプションは5.00ドルで取引されています。なぜ、市場では株式Bのコール・オプションの方が株式Aのコール・オプションよりもオプション価格(プレミアム)が高いのでしょうか? 答えは簡単で、市場は株式 B のインプライド・ボラティリティ(IV)の方が高いと予想しているからです。
インプライド・ボラティリティが上昇/下降すると、オプション価格もそれに連動して上昇/下降します。しかし、それはどの程度でしょうか?
ベガは、インプライド・ボラティリティ(IV)の変化に対するオプションの感応度を表します。インプライド・ボラティリティはパーセンテージで表示されますが、ベガは常にドルで表示されます。言い換えれば、ベガは、インプライド・ボラティリティが1%上昇した場合に、オプション価格がどの程度上昇するかを示しています。
ベガの値は、オプションを買っている場合は有利に、オプションを売っている場合は不利に働きます。つまり、インプライド・ボラティリティ が上昇する環境はロング・オプション・ポジションには有利に働き、ショート・オプション・ポジションには不利に働くということです。
例えば、満期まで31日の「満期日12月16日 権利行使価格150ドルのAPPL コール」を、プレミアム3.56ドルで買ったとします。下図の通り、この時、ベガは0.1586ドルでした。他の条件が変わらないまま、仮にIVが現在の38.79%から48.79%に瞬時に上昇したとしましょう。IVは10%上昇しましたから、これとベガを掛け算し、0.1586×10=1.586ドルほどプレミアムは上昇すると算出できます。現在のプレミアム3.56ドルにこれを加えると、プレミアムは5.146ドル程度になると考えられます。
簡単に言えば、ベガはインプライド・ボラティリティとオプション価格の関係を示しています。IVが上昇すればオプション価格も上昇し、その逆も同様です。ベガは、IVが1パーセント・ポイント変化するごとに、オプション価格がどの程度変化するかを予測します。
他のグリークスと同様、ベガは特定の時点におけるインプライド・ボラティリティに対するオプションの感応度を示すスナップショットです。次の図は、時間の経過とともにベガがどのように変化するかを示しています。
*上図は あくまでも説明用のものです。
XYZ社の決算発表が近いため、XYZ株が大きく上昇すると予想したとします。決算発表前にXYZのコール・オプションを購入して、この予想が当たり、XYZ社の株価が大きく上昇したとしましょう。しかし、この分析が正しかったとしても、損失を被る可能性があります。この理由は、ベガ値が大きすぎるオプションを購入すると、ボラティリティの低下によって損をしてしまう可能性があるからです。
決算報告書が発表される前は、オプションの原資産となる株式がどのように動くかについての不確実性が高まるため、インプライド・ボラティリティは通常上昇します。その後、決算が発表されて不確実性が低下すると、インプライド・ボラティリティは通常低下します。このインプライド・ボラティリティの急速な低下は、ボラティリティ・クラッシュと呼ばれます。
インプライド・ボラティリティが上昇した環境でオプションを購入した場合、値動きの方向性についての予測が正しかったとしても、その後のボラティリティの暴落がオプションの利益を打ち消してしまうかもしれません。
逆に、オプションの買い手は、オプションを買った時よりもボラティリティが上昇しさえすれば、利益を得ることが可能です。ベガ値は、ボラティリティの変化によって生まれるリスクとリターンを定量化するのに役立ちます。
実践から学ぶことで、オプション取引におけるベガの理解を深めることができます。ウィブル証券のオプション・デモ取引では、2つの基本的な買い戦略(ロング・コール/ロング・プット)と2つの基本的な売り戦略(カバード・コール/現金担保プット)をサポートしています。
ボラティリティの変化がさまざまな権利行使価格や有効期限のオプションにどのような影響を与えるかを実際に体験したい場合は、デモ取引を始めてみましょう。
そして、ベガを使ったデモ取引の結果や経験をコメントでぜひ共有してみましょう。
免責事項:表示されている取引例はすべて説明のためのものであり、投資を推奨するものではありません。